1000ZXL


1000ZXLは、ナカミチにとって特別なマシンでした。

1000ZXLを開発し、DRAGON、ZX9と飛躍しようとした矢先、中道悦郎社長はアメリカで病死してしまったのでした。いわばナカミチの結晶ともいえるでしょう。

音は芳醇。熟成を施したワインのような味わい。
ABLEというオート設定も魅力。
オートと言っても、独自CPUでの、いわゆるパソコンのような動作ではなく、ラボ(ナカミチは中道研究所というラボでした)使用の基盤の連なりで、各動作を確認して進めるプログラムでした。

FLインジケーター、レベルメーター。
自照式コントロールボタン。
かたかたとスムーズに小気味よく動作するメカニズム。

業務用ミキサーのようなレベルコントロールつまみ群。

持つことに喜びを感じ、使うことに満足を感じるマシンと言えるでしょう。





○ 200901 ナカミチ博物館縮小整理のため放出しました。

 当機は、ナカミチの黄金時代の代表機であり、最高峰であることには間違いありません。1000ZXLには、金メッキのLTDもありました。  
金メッキの外装。
ヘッドは特別選別品。
メカ部にまで金メッキが施されていたはずです。
 
製造工程では、指紋付着、金メッキのはがれ防止のため、通常以上に気が使われていました。  
手袋使用はすべての製造、検査、梱包工程で徹底されていました。  
それはそれは大変な仕事だったと聞きました。

 1000ZXLも、他のナカミチメカに比べ、選別ヘッド。
 物量投入のロジック、アンプ部、電源部。マイク入力も備えたド級コンポ。  
 操作も、自動化を取り入れ、自動録音アジマス、自動バイアス、自動RECレベル、自動録音コライザを総称してABLEとしました。
 自動選曲も取り入れていました。

 スペックはカタログ通りです。特性の数値を語るより、その音を聞けばすぐにわかります。

 カセットという規格を忘れさせるような、奥行き、音の太さ、質がなんとも芳醇さを漂わせ、大人の音を出します。

 ナカミチメカによる静粛且つ、かた(す!)かた(す!)と小気味良い動作感。操作ボタンが、大き目の動作表示、自照式キーという先端の設計。かたっとカムが動く音がして、各部が、すっと動作完了するわけです。

安っぽくないのです。

1980年1000ZXLで55万円。
1981年ltdで85万円という価格設定はその内容の現れであったのでしょう。