AT-OC9/Ⅲ ltd


 オリジナルのAT-OC9/Ⅲは次のようなものでした。

AUDIO-TECHNICA
AT-OC9/III

カートリッジの最高峰モデル

【SPEC】●形式:MC型 ●再生周波数帯域:15~50,000Hz ●チャンネルセパレーション:30dB ●針圧:1.8~2.2g ●コイルインピーダンス:12Ω ●外形寸法:16.8W×17.3H×25.7Dmm ●質量:8.0g

AT-OC9/III」(MC型カートリッジ)/2009年11月13日発売/¥65,625(税込)


AT-OC9/III

同社MC型カートリッジのフラグシップモデル。特殊ラインコンタクト針と0.26口径ソリッドボロンカンチレバーを搭載する。磁気エネルギーを飛躍的に高めたというネオジウムマグネットとパーメンジュールヨークコイルを用い、ターミナルピンはPCOCC素材。PCOCC素材採用のリード線セットが付属する。

また高セパレーション、ワイドレスポンスのデュアルムービングコイル、不要な振動を抑えるVCモールドを採用。ボディは剛体化設計としている。再生周波数帯域は15~50,000Hz、針圧は1.8~2.2g(2.0g標準)、コイルインピーダンスは12Ω(1kHz)。

Phile-webニュースでは次のような評価でした。

製品批評 2009年12月16日号(12/9発行) 高域の端まですっきりと伸び上がったレスポンスが快い。


それがリミテッド化されて発売されました。

オーディオテクニカ、MC型カートリッジ限定モデル「AT-OC9/III LTD」

2012年6月15日発売。税込み91350円



AT-OC9/III LTD




以下 phile-webニュースより抜粋

本製品は「AT-OC9/III」のボディを、アルミ合金製から純チタン削り出し材に変更した限定モデル。これによりベースの剛性があがり不要振動を抑制。濁りが少なく力強い音表現を実現するという。

スタイラスチップには先端曲率半径40μm×7μmの特殊ラインコンタクト針を採用。これをφ0.26のソリッドボロンカンチレバーへ埋め込み接着することで、針先で読み取られた音楽信号を正確に発電コイルに伝えることができるという。

マグネットには磁束エネルギーを高めたネオジウムマグネットを、ヨークにはパーメンジュールを採用した。

リード線には金クラッド、7N-OFC、PCOCC、OFCをバランス良く配合したクワトロハイブリッドリード線を採用し、カートリッジ本体との理想的なバランスを追求したという。


テクニカによる、製品詳細

テクニカルデータ
型式 MC型
再生周波数範囲 15~50,000Hz
出力電圧 0.4mV(1kHz、5cm/sec.)
チャンネルセパレーション 30dB(1kHz)
出力バランス 0.5dB(1kHz)
針圧 1.8~2.2g(2.0g標準)
コイルインピーダンス 12Ω(1kHz)
直流抵抗 12Ω
負荷抵抗 100Ω以上(ヘッドアンプ接続時)
コイルインダクタンス 25μH(1kHz)
スタチックコンプライアンス 35×10-6cm/dyne
ダイナミックコンプライアンス 18×10-6cm/dyne(100Hz)
スタイラス 特殊ラインコンタクト針
カンチレバー φ0.26ソリッドボロン
垂直トラッキング角 23°
外形寸法 H17.3×W16.8×D25.7mm
質量 10.5g
 付属品:非磁性体ドライバー×1、ワッシャー×2、プロテクター×1、カートリッジ取り付けビス 11mm×2、16mm×2、ナット×2、ブラシ×1、クワトロハイブリッドリード線セット(AT6106)×1
 別売:針交換:AT-OC9/III(税抜 ¥54,600.)


 ということで、オリジナルのⅢからは、ベースがチタンに変わったということが一番大きな変更点であるということ。

 針先は同じである、ということ。

 がわかります。

 それで、オーディオかもんKK社長に最後の4個のうちの一個!という殺し文句で2013年11月に当AVルームにやってきたのでした。

 従来のART2000の繊細な表現とは異なり、かなりガッツのある表現ができるようになりました。

 デザインは、OC9のハウジングとほぼ同じだったART2000でしたが、音がクラシック向きで、ロック、ポップス、ジャズなどには少し不向きの感じがありました。
 私としては、その繊細な表現が好きで聴いていたのでした。


 後日談
 
 2016年テクニカは、ART1000というダイレクトパワー方式=針先振動を直上に設置したコイルで発電という夢の方式のド級カートリッジを発売しました。

 古くは、長岡氏がリファレンスにしていたビクターのMC-L1000が、そのダイレクトカートリッジだったのです。
 ビクターは、コイルではなくコイルをプリントして基盤で発電していたものです。

 




オーディオテクニカ MCカートリッジ「AT-ART1000」 価格60万円前後 2016年7月ころ発売

 OC9/Ⅲltdでも清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入したので、60万円の品はちょっと手が出ません。
 おそらく至上の音が出るであろうことは想像できます。しかし、その資金があるならLPレコードを買った方が健全な気がします。

 または、フォノイコグレードアップやら、トランスやら他に限られた資金を活用する道があります。
 ART1000は、いつかは~の部類にしまっておきましょう。