system6
Wilson audio system6
X-1が来る直前の記録撮影。
床を工事後システム6の本来の音が出せたか?半年掛けてまあまあの音になってきてはいたと思う。
低域に関してはここでは未見じゃなく未聴のX1GrandSLAMMに比肩するかもしれない再生帯域だと思う。
システム6はシステム5.1に比べ低域再生は数段向上していた。そういう設計だった。
このコンクリート床では、床木材をずどんと鳴らして響きを作っていたのがバッサリ切られ、SPそのものの音がクローズアップされた。
音楽的な意味では量感は少なくなったがオーディオ的にはより正確な低域再生になったのだと思う。
高域の神経質なところが一時期現れた。これはセッティングし直しだから仕方がない。
システム5.1もシステム6も気難しいSpなのだった。
・Wilson audioのSystem6 概略
System6は2013年から2024年7月まで我AVルームの主力機。
以下「オーディオの足跡」のSystem6、大場商事-太陽インターナショナルの昔扱い商品からWilson system6カタログ、を参照・参考にした部分があります。
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〇我AVルームのSystem6の話をする前にWilson systemシリーズの略歴をすこし。
(「我AVルーム」も長ったらしいので名前を考えた。 Mavr マイエブ(仮)としよう。2024年9月)
Mavrは別項の過去歴史にも書いてる通り、サラウンドの歴史がシステムの歴史を形成している。
その時その時でできる範囲でのサラウンドシステムを作って来た。
一番印象に残っているのは、オーディオ的にはプアーだったかもしれないシステムの時代。
パイオニアのサラウンドプリアンプSPD07の頃。
ありったけのアンプ・SPを接続しての5.1ch。とにかく手持のコンポーネントで構成するものだからメーカーの統一性とか音色の統一性とかは別問題。まずはサラウンドマルチチャンネルの構築が先だった。
長岡鉄男氏存命の頃はリアがモノーラルのマトリックスサラウンドが原初形態。それも誰もやってなかったサラウンド、大画面(当時は三管プロジェクター)、大音量での映画の楽しみは面白かった。
オーディオ的にマルチチャンネルを進めるとステレオイメージの構築で音に包まれる再生が可能であった。(DVD-A、SACDのマルチチャンネル)
しかし装置に掛ける金額がかなり高価になってしまう楽しみ方だった。
ソフトにもステレオ2CHではなく、4CHとか5CH、5.1CHで収録したソフトが多数登場した。
そこで登場したのがデコーダーで包囲感のあるサラウンドを実現するシステムが登場した。ドルサラ、Dtsからアトモス、DTSXへいたるサラウンド方式。
ソフトもその方式に対応して、5.1CHから7.1CHなどマルチチャネル収録のものが増えて行った。
上方にスピーカーを増設する=スピーカー数を増やして音場を作り出すサラウンド方式が始まり、アトモスでオブジェクトオーディオという言葉が登場した。ステレオからのマトリックスイメージでサラウンドを構築するプログラムから、各チャンネルにそれぞれの音を初めから配置するオブジェクトオーディオが開発された。ドルビー(dts)のすごいところは、上位規格に下位互換性を付けて、専用のデコーダーがない時でも従来のドルビーサラウンド、dtsサラウンドで再生できるようにしたことだ。
AURO3Dについては別項をご覧ください。
初めの方に少し書いた「一階部分」はAURO3D的表現なのだがこの平面部でのシステムを同一スピーカー、同一アンプで鳴らすと立体サラウンド再生の品位がものすごく向上する。
各チャンネルの位相、レベル調整、音色の調整をすると一階部分だけで、位相差=マトリクス的サラウンドが各チャンネル間のステレオフォニック再生によって素晴らしい音場=立体的=高さのある表現が獲得できるのだった。
それを突き詰めたのが、アバロンラディアン4本使いや、Wilsonの4本又はセンターを入れた5本使いだった。
話をWilsonに戻す。
system6の前にはsystem5.1がメイン機だった。
その前はアヴァロン社のラディアンを使っていた。
初めはラディアンをフロントにしリアには別のSPでサラウンドを楽しんでいた。すこし経ったある日IK氏が「サラウンドを楽しむにはSPは4本同一の品が良いよ」という囁きに従い、リアchにもラディアンを導入した。追加のラディアンはダイナミックオーディオ5555まで引き取りに行った。
これでラディアン4本の5.1chサラウンドシステムが出来た。
濃密な音の世界。音楽は美しい。だが、映画のどっかんすっかん!金属のシャリリーン!!。ガシャ!!!などの鋭い音(擦過音)が再生できない。
こってりとしたアヴァロンの美音をしばらく楽しんだのだが、IK氏の悪魔のささやきがまた。
「ウイルソンのスピーカーは生の音がするよ」と。
そしてWilsonのSPが我AVルームにやって来る時が来た。
2009年system5.1 導入。
写真はsystem5
system5.1は、システム5のワット部とパピー部を結ぶケーブルをカルダス品に変更したもの。他の変更点もあったと思うが2024年現在資料が見つからず詳細不明。
このシステム5.1はIK氏と一緒に埼玉県辺りまで引き取りに行った。
前オーナーがウーファーのエッジ破損でユニットを交換したと言っていた。
そのウーファーユニットはsystem7のものだったという。
さらに私の5.1は2011年ツイーター破損で修理交換。修理パーツはsystem7のツイーターであった。
そうするとこのシステム5.1は、システム5.7位になっている!?
アヴァロン社ラディアン4本によるマルチサラウンドの箱庭的世界は面白かったが、Wilson system5.1導入によってその再生音(世界観)は激変した。
フルWilson第一幕。
この時のリアchは、WilsonのWITT。センターはカブⅡになった。
Wilsonの高解像度、ワイドレンジの音像、音場世界に切り替わった時代だった。
WITT
CUBⅡ
カブⅡもX1GrandSLAMMの技術を使って造られたSP。system5と同じ理論だ。
X1GrandSLAMMが如何に技術革新の中心であったかが分かる。
その後2013年 system6 導入。2024年7月23日までフロント。以降リアへ移設。
system5.1に比べ一回り大きくなっている。それが低音の出方に大きく影響している。
センターはカブⅡからウオッチセンターに変わった。
ウオッチセンターはカブⅡと同じユニット構成でありながら、出てくる音は全く違う。Wilsonは面白い。
フロントシステム6、リアシステム5.1、センターウオッチセンターのフルWilson第2幕だった。
そして2023年、IK氏が翌年定年前退職してショップを開く計画を聞いた。
X1グランドスラム、Jeffのアンプ群、ダイナセカスラックなどを入手するミッションも起こった。
それらが2024年のプロジェクトX1となることは2023年時には気が付く訳がなかった。
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〇床のお話
2004年から床の問題はIK氏に指摘されていた。
私がこのAVルームを作った時(1992年)にはテキストになるものが長岡鉄男氏の方舟本のみだった。いわゆるオーディオ建屋のノウハウはハウスメーカーにはなかったのだ。
しかしオーディオルーム建築設計家は存在していて、それを活用したのが私のAVルームより後建築のIKシアターだった。
IK氏は現在のIKシアターを建築する前は、昔の自宅の駐車スペース建物の2階に専用のオーディオルームを改築して作っていた。オーディオ防音を考えての改築だった。
その頃はアポジーやらアバロンやらで楽しんでいたと思う。
それが専用のIKシアター建築の時に、コンクリート2重構造建屋、スピーカーを置くエリアはコンクリート充填、とオーディオ(ビデオ)に特化した建物を作った。
これはすごい。日本探しても彼一人だろう。その下りは昔の雑誌「ホームシアター」あたりに特集で紹介されたりしていて皆さんの目に留まった事があるかもしれない。
その彼が、Mavrマイエブに入るたびに足裏の感じで「床だな―!」と20年ずっと言われ続けた。 b(^^)
すでにシアターを物にして床の重大さを身をもって体験しているIK氏の言葉だった。
こちらは子供たちが独立別居、住宅ローン払い終わり、マイカーローンも終了した頃。さらには仕事上、COVID19 の影響、2021年2022年の福島沖地震でかなりのオーバーワークに陥り、更に数々の問題が起きた。
2023年、ミッション秋田、体調不良、自宅改修が連続または同時並行に起きた。
風呂場のリフォームで土木工事の実際を目の当たりにした時、AVルームの床改造を決意した。コンマ何ミリのイメージは土木工事の職人さんたちの前では関係ない事だ!と分かった。ただ図面がないことがあとあとの後悔に繋がることにはなったが、それは後のお話。
さてIK氏は上記のように20年ずっと、「WilsonのSPは床がしっかりしていないと実力を発揮できない!」と指摘し続けていたのだ。
2009年時にはIK氏のシアターにはX1 GrandSLAMM S1が導入されていた。(system5は、X-1の構造、素材、SPユニットなどを応用してできた製品だった)。IK氏はX1の使い方で床の重要性を初めから認識していたのだった。
WilsonのSPシステムは元音をそのまま再生するので次のような大前提がクローズアップされる。
☆動くところは動く。動かないところは動かない。
動くところはスピーカーでいえばスピーカーユニットの振動板。
動かないところはスピーカー振動板以外のフレーム、マグネット、エンクロージャー、スパイク脚、そして床。
床が動かないとWilsonのスピーカーは良い音で鳴りだす。
AVルームを作ってから約30年放置してきた床の問題を風呂場のリフォームの土木工事の実際を見て、
「こうすれば、こうなる」
目で見て理解した。頭で考え悩んでも意味はなかった。
と言うわけで、2023年秋にAVルームの床工事=スピーカーを置くエリアにコンクリートを流し込む=を実施した。
現場合わせ毎日確認した。設計図がなかったための失敗や後悔はもちろんあったが、おおむね結果オーライ!
システム6をコンクリート床で鳴らすとこれまで隠れていた本来の鳴り方をしだした。
すごい。
元から豊かな低域だとは思っていたが、System5.1からぐっと向上した低域がコンクリート床でさらに下に伸びた。
その伸び方はドンシャリの量的増加ではなくf特的に素直に延びるイメージ。
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〇システム6の話の前に、Wilsonとその輸入代理店、そしてその製品を考察してみる。
Wilson Audio はDavid Wilsonが1974年に創設した当初はアナログプレーヤーのメーカーだった。
そのモニター用に可搬型スピーカーを作ったが、これが大ヒットしスピーカーメーカーとして転身したのだった。
1985年 WATT発売。
この可搬型SPは、WATTと命名されたバッフル面が傾斜したピラミッド型2ウエイスピーカー。
音質面で低音が欲しいというニーズに対応しウーファーユニット=Puppyを作った。
1989年 Puppy発売。それぞれ別売していたが2つ合わせてWAMMを形成。後に「システム」の名を付けてセット販売した。
1994年 Watt+Puppy の System5 発売。ペアで約300万円。
2009年 Sasha 発売 System8 まで進んだシステムシリーズをはじめから一体型に設計変更したもの。
2010年 国内販売をアクシスへ。その前はおそらく大場商事。
2013年 Sasha2
2018年5月 David Wilson 死去。 それに伴い代理店アクシス扱い終了。
Wilson audioはDaryl Wilsonへ引き継がれ継続。
2018年11月からステラが輸入代理店となり現在に至る。
2018年 各製品モデルチェンジ
ステラ扱い現行製品 母体製品
ChronoSonicXVX 7800~8030万円
AlexxV 3190~3300万円 ← X-1 GrandSLAMM
SashaV 1166~1199万円 ← System5-6-7-8
SabrinaV 429~472万円 ← Witt
TuneTot 239~264万円 コンパクトブックシェルフ ← カブ系か?
価格設定が何ですが、あくまで輸入代理店の考えですので何とも。
世界一の消費国中国のご意向が世界経済の鍵を握ってしまった現代の経済事情があるのです。
ステラはエアフォースワンというアナログプレーヤーを扱うメーカーで、その価格設定もナニです。
扱い会社名はTechDAS(テクダス)。
現行のWilsonAudio商品はその過去製品の歴史から作られてきている芸術品レベルの製品です。
元々David wilsonは芸術と工業技術の融合を目指していた方ですのである意味それがあるべき姿なのかもしれません。
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〇System6のお話
カタログより
システム5からの進化形のシステム6。
音は圧倒的にシステム6がワイドレンジで良い。
音楽を楽しめる音に仕上がっています。私の感想。
全てのWilsonの宿命なのですがバッフル面のデフラクションパッドと呼ばれる黒いスポンジが10年もたつと加水分解しぼろぼろになってカバーが落ちる問題があります。
1300万円のX-1でも300万のシステム5.1でも同様。
Wilsonは、日本の高温多湿の風土を予想しきれなかったとIK氏は言います。
IK氏のX1GrandSLAMM s1は、日本で1番目のX1(だったはず)。
で、どこかでIK氏がWilson氏と会った時に、彼のX1にデヴィッドWilsonのサインをしてもらったという逸話があります。
おそらく調整にWilson本人がやってきた時?いつなのかはよく覚えていないのですが、サインがあるのは確かです。 (^^)
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〇以下オーディオの足跡から一部抜粋
SYSTEM6 Watt-6/Puppy-6 ¥3,200,000(2台1組、1999年7月発売)
System5からの改良点は2点。Puppyのエンクロージャー素材変更とWattの放射アングル調整機構。
Puppy-6ではPuppy-5からエンクロージャー素材を変更。
Puppy-5はX-1に利用したエンクロージャー材料を主要な部分に使用してるが、Puppy-6ではMAXXで培ったノウハウによって得られた高密度ポリフェノリックレジンをベースとした素材を採用。
これにより共振が半減されよりクリーンでハイスピードの低域再生を目指した。
Puppy-6では高さを55mm、幅を12mm大きくした上で内部構造を一新し内容積を増加させた。
これによりスペック上では20Hzまでの再生を実現。
Watt-6では放射アングルの調整+タイムアライメント機構搭載により、多くのリスニング条件や環境下で理想的な再生を可能とする。
この機構はWAMM、MAXX、X-1で実績のある特許技術であるPHD(Phase Delay Correction)を応用したもの。
Watt-6の垂直方向角度を変ることでリスナーの位置に合わせ位相補正調節可能。
Watt-6は3本のスパイクによる設置のため共振から解放された、よりシャープなイメージ像を実現を目指す。
WATTの底面真ん中にある棒=スパイク。
スパイクが数種類用意されている。
この棒の高さを上げるとバッフル面が垂直に近くになり、ツイーターからの音が拡散ではなくダイレクトにリスナーに届くようになる。
通常は空間に向けて放射される高域であるがそれではハイ落ちに聞こえる。
それをこのスパイク高さ変えて聴感上合わせていくと好みの音に近づけられる。
私は、System6の低域豊さを押さえるため、このバスレフポートに垢すりをやんわりと詰めている。
タオル、スポンジなどいろいろ試してみた結果だ。密度の高いものを詰めると空気の流動が無くなるのでお勧めしない。
逆に垢すりよりも目が粗いと空気はすかすか動いてしまうのでダンピング効果が得られにくい。
WATTのこの写真で白く見える横棒は、補強・SP端子保護など用途があるのだが、一番は持ち運びの時の把手となる。これは便利。
スペック
方式 3ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・フロア型
使用ユニット
低域用:20cmコーン型x2
中域用:17cmコーン型
高域用:2.5cmドーム型
インピーダンス 4Ω
周波数特性 21Hz~21Hz -3dB
出力音圧レベル 92dB/W/m
要求パワー 7W/ch minimum
外形寸法 幅305x高1,016x奥行470mm
重量 73.5kg
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おまけ
サーシャ
2009年7月大場商事扱い 当時約350万円
System6からの発展形=現行サーシャのSPECを少し。
3ウエイ
能率 88db/1watt /1m/1khz
定格インピーダンス 4Ω 最低2.36Ω 82hz
最小アンプ出力 25W /ch
周波数帯域 20-32k ±3db
114.48 (h) × 36.83 (w) × 60.78 (d) ㎝
重量 111.13kg
スペックだけで見る限り、まず低能率。インピーダンスも低め。
大きさもシス6より一回りでかい。
このことからこのサーシャを鳴らすためには超巨大なパワーアンプが必要だ、という事が推測できる。
システム6は能率92db。鳴らすのは比較的楽かも。楽といってもシステム6もアンプ選択はすこぶるシビアだと思う。